Folklore01

Servus AKIの食卓のフォークロア

師匠と弟子の食談義

今までメールマガジンに書いていたコラムを発表、そしてそれに関連した資料を掲載
でもちょっと眉唾かも・・・・    
なんだ嘘かよ〜、そー言われても・・・・・
ま〜、それなりに読んで下さい。少しは話の話題なるかも????

そうそう、Servus(セアヴス)とは、ウイーンの方言で[今日は]と言う意味です [フォークロア]とは、民間伝承、民俗学、と訳されています。つまり食に関するあらゆる、フォークロアな事柄をお届け致します。なんちゃって・・・・

WIEN010-1.jpgウエストバーンホーフの夜明け

プロローグ

まずはプロローグということで、初めにお話しておきたいと思います。
もったいぶらないで、早く始めろよ!という声が聞こえてきそうです。
大丈夫です。すぐに続きが始まりますので、我慢してください。

【弟子】 師匠、なんか壮大なテーマですね。わくわくしてきますが、
     どんな内容なんですか?

【師匠】 これは、間接的にでも「食」に関わっていれば、こんな出
     来事が有ったとか、もともとはこんな意味だったとか・・。
     まー、ゆうなれば、ただの雑学だな。

【弟子】 なーんだ、どこにでもあるような内容なんですか。

【師匠】 失敬な弟子ぢゃな!
     「食に関わった」といっておるぢゃろ。

【弟子】 でも、どこにでもありますよ。
     師匠も、たいした事がないんですね。

【師匠】 そこは読んでもらわなくっては、ならんな。
     (少しご機嫌斜め)

【弟子】 Servus(セアヴス)とは、ウイーンの方言で[今日は]と言う
     意味と書いてありますがこれで宜しいんですか?

【師匠】 イタリア語の「チャオ」やハワイの「アロハ」と、同じで
     おはよう、こんにちは、さようなら、おやすみ・・・とか。
     まー、なんにでも使える便利な言葉じゃな。

【弟子】 またなんで、ウイーン語なんですか?

【師匠】 ウイーンはドイツ語なんじゃが、ひとつの方言じゃな。

【弟子】 またなんで、ウイーンなんで・・・。

【師匠】 30年以上前に、ウイーンに5年ばかり暮らしていたんじゃが
     そのときに友人と会うと、友人からいつもこう言われていたのを
     そのままタイトルにした訳ぢゃよ。

【弟子】 それじゃ、師匠はドイツ語がペラペラで・・・・。

【師匠】 もう、30年以上も前の話でもう忘れた。

【弟子】 なーんだ、しゃべれないんだ。

【師匠】 まったく、失敬な弟子ぢゃな。
     君は首じゃ。もう来んでもよろしい。

【弟子】 ちょ・ちょっと、ちょっと、待ってくださいよ師匠。
     冷たいなー。私の言い方が悪かったら直しますんで機嫌直して
     下さいよ。

【師匠】 今度、わしのことを小馬鹿にしたら即刻クビぢゃからな。

【弟子】 わかりましたよー。
     ほんとにー、まったく気の短い師匠なんだから。

【弟子】 こんな調子で、はじまるんですか?

【師匠】 まー、君次第ぢゃな。がんばってくれたまえ!



乾杯




【弟子】師匠、いよいよはじまりましたね。

【師匠】感慨無量だな!

【弟子】ところで、このタイトルはどうして決まったのですか?

【師匠】なに、むか〜し、ウイーンに住んでいたとき友人と会うと、彼が必
    ずこう言って挨拶した言葉をそのままタイトルにしたわけぢゃよ。

【弟子】 すると、師匠のお名前は「あき」と・・・いうので?

【師匠】 まー。そんなところぢゃ。

【弟子】 まだ春なのに「あき」ですか・・・・

【師匠】 ・・・・・

【師匠】 では、早速始めようかな。
     今日は第一回ということでなににしようかと迷ったのぢゃが、タ
     イトルが「食卓のフォークロア」というのぢゃから、食事に「乾
     杯」はつきものなので、「乾杯」について話したい。まー、気楽
     に聞いてほしい。

【弟子】乾杯ですか、いいですね。じゃ、早速シャンパンでも開けますか?
     私はこの「乾杯」が何よりも好きでして。

【師匠】 君の事など聞いとらん。
     日本語の「乾杯」とは、中国語でもそうだが杯を開けると書く、
     つまり注がれた酒は、飲み干さねばいけないということだな。
     日本酒の盃程度の大きさなら問題はないが、ドイツの「オクト
     ーバーフェスト」(ビール祭り)で、出てくるビアジョッキな
     ぞ、1リットルもあるので飲み干すのに、イッキというわけに
     はいかなかった、思い出があるな。

【弟子】 私なら、任せてください。

【師匠】 ・・・・・・・。

【師匠】 実は、これはとても怖いお話なんぢゃよ。じっくりと読んでくれ
     たまえ。
     食事には必ずつきものの乾杯。それくらいは知ってはおるな。

【弟子】 その位の事なら・・・・。

【師匠】 まず、この「乾杯」というのはいつ、なぜ始まったのかというの
     から話さんといかんな。
     乾杯という言葉がいつごろから使われ始めたのかは、紀元前のエ
     ジプトだそうで、これはもともと毒殺されない為に考えだされた
     習慣なんぢゃよ。

【弟子】 エー!毒殺ですって。

【師匠】 そーなんぢゃ。あのエジプトのファラオ、ツタンカーメンも、毒
     殺されたのは知っておるな。あのナポレオンも最近の研究による
     と、遺骨からヒ素が検出されたと言われておる。まー昔は、暗殺
     ・毒殺に明け暮れて、身分の高いものはおちおち安心して寝られ
     んかったんぢゃろーな。もちろん、日本でも同じこと。日本の殿
     様には「お毒味役」と、言う。立派な役職があったのだから、洋
     の東西を問わず、よくあったのぢゃろ。わしらは、今のこの平和
     な世に生まれついてよかったの。

【弟子】 なんで毒殺なんですか?

【師匠】 それは、ひとつには軍隊を派遣するよりも安上がりな方法だから
     ぢゃろ。自分が権力を握ろうとしたら、時の権力者を殺さねばな
     らんのだが、力ではかなう相手ではないのだから、毒殺・暗殺な
     どで自分が権力者になるのが手っ取り早い。そして権力者になっ
     たら、今度は自分が狙われる立場になってくるのだからこまった
     もんだ。

【師匠】 そこで考え出されたのが、同時に同じ酒を飲み干せばこの盃には
     毒が入っていないんだな、ということになって今日の乾杯の原型
     が出来たわけじゃな。

【弟子】 へー、そうなんですか。私なんかよく居酒屋ですぐ、乾杯・乾杯
     なんて騒ぎまくっていますが、毒殺のことだったんですか?知ら
     なかったなー。実は、私なんかよくやるんですが、乾杯の時に相
     手のグラスにグラスをぶつけてかんぱ〜い、なんてやるんですが
     これも毒殺と関係があるんですか?

【師匠】 いいところに気が付いたのー。
     次回は、このことについて話そう。

【弟子】チョ・チョット待ってくださいよ師匠。もうお終いなんですか?
     今日は第一回目の発表ですよ・・・。もう少し話しましょうよ。

【師匠】そうか・・・・そうだな。少し長くなるが、気を入れ直していこう

【弟子】(まったく、油断もすきもないんだから・・・ブツ・ブツ・・・)

【師匠】 なにか言ったか?

【弟子】 いえ、何でも有りません。

【師匠】 昔の盃は、今のようなガラス製品なんかなかったから、角杯や
     金属・陶器の入れ物が多かったから多少強くぶつけても壊れる
     ことはなかったんだな。一説によると、昔は酒には悪魔が潜ん
     でいると考えられてたらしく、飲む前にグラスをぶつけること
     で悪魔を追い払うために乾杯をしたという。
     その後、乾杯の習慣が中世ヨーロッパに伝わると相手のグラス
     をぶつけることで相手のグラスに酒が混じり合うことによって
     毒が入っていないことを確認するためと変化したとも言われて
     おるの〜。現在の乾杯とはまったく違った意味を持っていたの
     だよ。

【弟子】 聞いて見なければ分からないもんですね。酒にしろビールにし
     ろ酒席では「乾杯!」とグラスを触れ合わせますが、これを喜
     びを表すものとか友情のしるしと思っていました。

【師匠】 しかし、乾杯の習慣が生まれた当初はそうではなかった。なん
     と「暗殺防止」というということを知っただけでも酒の肴にな
     るぢゃろ。これは1つのグラスに注がれた酒を2つに分けて、
     『この酒には毒が入っていないから、安心して飲んで下さい』
     と、その合図に音をたててグラスを あわせたのが乾杯の始まり
     だとか。日常的な王家同士の争いで毒殺が盛んに行われていた
     恐い恐い中世ヨーロッパあたりから始まった習慣といわれてお
     る。

【弟子】 師匠どうもありがとうございました。
     ついでといってはなんですが、乾杯というのは世界中いろいろ
     な言い方があるんでしょうね?・・・ごぞじんですか?

【師匠】なんだその疑い深い言い方は。このわしの知識を疑っておるのか。

【弟子】 ・・・・すいません。

【師匠】 では、まずは英語圏から行こうか。
     イギリス・アメリカ・カナダなどはCheers!(チアーズ)といって
     おる。
     カナダはフランス語圏もあるので、フランス同様にA votre
     sante!(アボートゥル サンテ)、または、ただsante!(サンテ)
     ともいう。
     ドイツ・オーストリア・スイスのドイツ語圏では、Prost!(プロ
     ースト)
     オランダはドイツに近いこともあって似たようなProost!(プロウ
     スト)
     デンマーク・ノルウェーSkaal!(スコール)
     スペイン・メキシコなどはSalud!(サルー)
     イタリアではCin Cin!(チン チン)なんていうな。

【弟子】 知ってます、知ってます。私なんか居酒屋ではいつもこれです。
     なんとなく卑猥ですよね師匠。

【師匠】 何を馬鹿なことを言っておる。こういった言葉はほとんどがみん
     なの健康を祝してといっておるのじゃ。

【師匠】 まだまだある。あまり聞いたことがないところでは。
     ポーランドはNa zdrowie!(ナ ズドローヴィエ)
     エジプトはFi Sihhitak!( フィ シヒタック)
     タイではChai Yoo!(チャイ ユー)
     モンゴルは(トルヤガー)
     ケニアでは(ニニュオ)
     トルコではグラスの底をぶつけあって(シェレフェ)なんていう
     な。

【弟子】 へー、すごいですね師匠。

【師匠】 どうじゃ、見直したか。

【弟子】 いえ、このくらい知っていなきゃ師匠なんて言わないでしょ。

【師匠】 まったく減らず口の・・・・(ムムム・・・)

【弟子】 師匠。そういえばお隣の国なんかが抜けてますが。

【師匠】 おまえが横やりを出すから言い出せなかったんぢゃ!
     まずは大事な国、中国では乾杯!(カンペイ)または「干杯(カンペ
     イ)」というな、これが日本語になって「かんぱい」になったと
     いうわけじゃ。もっと近い国、韓国も同じ字を書くが、言い方は
     「乾杯(コンペ)」という。

【師匠】 どうぢゃ、こんなもんで。

【弟子】 さすが師匠。よっ!大統領!
     ・・・で、次は何を教えていただけるんで?

【師匠】 そうじゃな、次は「握手」のことでもやろうかな。

【弟子】 えっ!「握手」が「食事」と関係しているんですか?

【師匠】 直接というわけではないが、次回を楽しみにしてほしい

【弟子】 やー、楽しみだなあー。

【師匠】 そうそう、君はもう来んでもよろしい、そういうわけで次回から
     はわし一人でやるから君は必要ないんで来なくてよろしー。

【弟子】 そんな〜。師匠!シショウ!シ・ショ・ウ〜〜〜。

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